かわず季語辞典
夏の季語一覧
220語を収録
俳句の夏は、立夏(5月5日頃)から立秋の前日までです。若葉のまぶしい初夏から梅雨、そして暑さの盛りまで、生命力にあふれた季語がそろいます。
季語は「時候」「天文」「地理」「生活」「行事」「動物」「植物」の分類ごとに並べています。季語を選ぶと、意味と例句を見られます。
時候24語
季節の移ろいや暦、暑さ・寒さなど、時の流れを表すことば。
- 暑しあつし夏の厳しい暑さを体全体で感じる状態を表す季語。玄関に 暑し暑しと 父帰る
- 炎暑えんしょ燃えるように激しい夏の暑さ。石畳 揺れて見えたる 炎暑かな
- 炎昼えんちゅう焼けつくような真夏の昼間。炎昼の 犬も動かぬ 日向かな
- 夏至げし一年で最も昼の時間が長い日。夏至の日の 長さを惜しむ 夕べかな
- 酷暑こくしょ夏の最も烈しい暑さ。路地の影 動かぬ正午 酷暑なり
- 小暑しょうしょ二十四節気のひとつ。小暑なり 空の青さの 際立ちて
- 小満しょうまん二十四節気のひとつ。小満や 畦の草さへ 輝ける
- 盛夏せいか夏の最も盛んな時期。盛夏なり 空の青さに 目を細め
- 大暑たいしょ二十四節気の一つで一年で最も暑い時期。大暑過ぐ 影ばかりなる 夕焼けに
- 梅雨明つゆあけ梅雨の季節が終わりを告げること。梅雨明けや 蝉の声から 空が割れ
- 梅雨寒つゆざむ梅雨の時期に訪れる思わぬ寒さ。梅雨寒や 軒の燕も 縮こまる
- 土用どよう立秋の前十八日間。夏の土用は七月二十日頃から始まり、一年で最も暑い時期にあたる。土用入り 日差しひときは 強くなり
- 夏の朝なつのあさ夏の早朝。日の出が早く、まだ涼しい空気の中に強い光が差し込んでくる。夏の朝 光あふるる 雨戸かな
- 夏の暮なつのくれ夏の夕暮れ時。西の空が赤く染まり、熱気がようやくやわらぐ頃。夏の暮 西の空まだ 明るくて
- 夏の昼なつのひる夏の真昼。強烈な日差しが降り注ぎ、人影が少なくなる静まりかえった時間帯。夏の昼 参道に人 絶えにけり
- 夏の夜なつのよ夏の夜。短い夜でも熱気が残り、星が鮮やかに輝く。夏の夜や 話しつきない 縁の上
- 夏の宵なつのよい夏のたそがれから夜にかけての時間帯。夏の宵 星のまたたく 縁にをり
- 夏日なつび夏の強い日差し、あるいは夏らしい晴れた日のこと。夏日なり 帽子の影を 踏みながら
- 熱帯夜ねったいや夜になっても気温が下がらず蒸し暑い夏の夜。熱帯夜 窓開けたれど 風来ざる
- 晩夏ばんか夏の終わりに近い時節。浜小屋の 畳まれてゆく 晩夏かな
- 芒種ぼうしゅ二十四節気のひとつ。芒種過ぎ 田水の匂ふ 里の道
- 短夜みじかよ夏至を中心に夜が短い時期をいう。短夜の 夢の途中に 明けにけり
- 水無月みなづき旧暦六月の異称で、夏の盛りを表す時候の季語。水無月の 空の高さよ 夕茜
- 立夏りっか二十四節気の一つで夏の始まり。立夏とて 風にまじれる 木の香かな
天文25語
日・月・星、雨・風・雪・雲など、空や気象にまつわることば。
- 青嵐あおあらし初夏、青葉をざわめかせて吹く強い風。青嵐 ゆれて橋脚 鳴り渡る
- 青時雨あおしぐれ青葉の梢から雫が落ちる様子を、冬の時雨に見立てて表現した言葉。青時雨 光のなかに 散りにけり
- 炎天えんてん灼熱の太陽が容赦なく照りつける猛烈に暑い空。炎天に 影なき道を 行くばかり
- 雷かみなり夏の積乱雲から発生する雷鳴と稲妻。雷や 山の端ひとつ 光りたる
- 雲の峰くものみね夏空に高く盛り上がる入道雲。雲の峰 校舎の窓を 越えにけり
- 黒南風くろはえ梅雨の時期に吹く湿り気を帯びた南風。黒南風や 漁師の顔の 黝みたる
- 薫風くんぷう初夏に若葉の香りを運んでくる爽やかな風。薫風や 書架の古本 開きたく
- 五月雨さみだれ陰暦五月頃に降り続く長雨。五月雨を あつめて早し 最上川芭蕉
- 驟雨しゅううにわかに降り出して激しく降り、やがてぱっと上がる夏の雨。驟雨来て 街の人みな 軒に入る
- 白南風しろはえ梅雨明け後に吹く涼しい南寄りの風。白南風や 洗ひし暖簾 さらさらと
- 梅雨つゆ六月から七月にかけて続く長雨の季節。傘立ての 傘の乾かぬ 梅雨の家
- 梅雨の月つゆのつき梅雨の合間、雲の切れ間にわずかに姿を見せる月。梅雨の月 雲間にほのと 顔出せり
- 梅雨晴つゆばれ梅雨の時期に雨が上がって晴れ間が広がること。梅雨晴の 洗濯物の はためけり
- 虎が雨とらがあめ陰暦五月二十八日に降るとされる雨。虎が雨 静かに濡れる 庭石よ
- 夏霞なつがすみ夏の暑さのためにうっすらとかかる霞。夏霞 遠山うすく 消えてゆく
- 夏霧なつぎり夏の朝や夜に立ち込める霧。夏霧に 灯台の音 かそけくも
- 夏の雨なつのあめ夏に降る雨の総称。夏の雨 葉の上に玉 なして散り
- 夏の月なつのつき夏の夜に高く輝く月。夏の月 汗ぬぐひつつ 見上げたり
- 夏の星なつのほし夏の夜空に輝く星々。夏の星 数ふるほどに 夜が更けて
- 夏霹靂なつへきれき夏に激しく鳴り響く雷。山越えて 夏霹靂の とどろけり
- 虹にじ夏の夕立の後などに現れる七色の弧。虹の端 山の彼方に 消えにけり
- 入道雲にゅうどうぐも夏の青空に湧き起こる巨大な積乱雲。沖に湧く 入道雲の 白さかな
- 南風みなみ夏に吹く南からの暖かく湿った風。沖の船 帆をふくらます 南風かな
- 夕立ゆうだち夏の午後に突然降る激しい雷雨。夕立や 草葉を掴む 群雀蕪村
- 夕凪ゆうなぎ夏の夕方、海辺で風が止まり蒸し暑さが増す現象。夕凪や 船の煙の まつすぐに
地理11語
山・野・川・海・田畑など、大地や水辺の季節の姿を表すことば。
- 青田あおた青々と育った稲が一面に広がる田んぼ。青田風 渡りて鷺の 一羽立つ
- 砂浜すなはま夏の海辺に広がる砂地の浜。砂浜の 果てを波音 満たしけり
- 滝たき夏の季語としての滝は、暑さの中に涼しさを求めて人々が訪れる清涼の場。滝の音 遠くなりたる 峠かな
- 夏野なつの夏の草が生い茂る野原。夏野行く 一筋の道 まつすぐに
- 夏の池なつのいけ夏の池。蓮の葉が広がり、水面には光が反射する。夏の池 蓮葉に雨の 落ちる音
- 夏の海なつのうみ夏の強い日差しに輝く海。夏の海 子らの歓声 遠くなり
- 夏の川なつのかわ夏の川。水量が増して流れが速くなり、川岸では子供たちが水遊びに興じる。夏の川 瀬音に子らの 声まじる
- 夏の浜なつのはま夏の砂浜。白い砂が強い日差しに照らされ、海水浴客で賑わう。夏の浜 砂に名前を 書く子かな
- 夏の峰なつのみね夏の山の峰。青々と茂った緑の山頂や、入道雲を頂く雄大な夏山の峰の景観をいう。夏の峰 雲わき立ちて 青く澄む
- 夏山なつやま夏の緑に覆われた山。夏山の 頂よりの 風強し
- 避暑地ひしょち夏の暑さを逃れるために人々が集まる涼しい土地。避暑地より 友の絵葉書 届きけり
生活45語
衣食住や仕事、遊びなど、人の暮らしにまつわることば。
- 汗あせ暑さによって肌から吹き出る水分。汗にじむ 顔拭ひつつ 野の仕事
- 鮎釣りあゆつり夏に清流で行う鮎の友釣りや毛鉤釣りをいう。鮎釣りの 竿しなやかに 川光る
- 打ち水うちみず暑い日に庭先や道路に水を撒いて涼を取る風習。打ち水の 跡みるみると 乾く午後
- 団扇うちわ手で扇いで風を起こす扇形の道具。団扇もて 老いたる母の 語りぐさ
- 海の家うみのいえ海水浴場に設けられた海の家。海の家 軒の浮き輪に 揺れる風
- 扇おうぎ折りたたみのできる扇形の道具で風を起こして涼をとるもの。扇より 座敷に風の 生まれけり
- 泳ぐおよぐ夏の水の中を泳ぐこと。泳ぐ子の 水しぶき立つ 入り江かな
- 海水浴かいすいよく夏の海に入って泳ぐ行楽。波高し 海水浴の 子らの声
- 柏餅かしわもち端午の節句に食べる柏の葉で包んだ餅菓子。柏餅 ひと口食べて 子の笑ふ
- 蚊取り線香かとりせんこう除虫菊などを原料とする渦巻き型の防蚊線香。縁側の 蚊取り線香 灰の渦
- 蚊帳かや蚊を防ぐために吊った薄い網の張り物。蚊帳吊りて 子の寝息聞く 夏の夜
- 蚊遣火かやりび蚊を追い払うために焚く煙の出る火。蚊遣火の 煙たなびく 縁側に
- 帰省きせいお盆の時期に故郷へ帰ること。帰省子の 荷の重たさに 母笑ふ
- 金魚売きんぎょうり夏に金魚を売り歩く人や店。金魚売 声の涼しき 路地の奥
- 氷水こおりみず削った氷にシロップをかけた夏の冷菓。氷水 すくふ匙より 滴れる
- サングラスさんぐらす強烈な夏の日差しから目を守るためにかける色つきの眼鏡。サングラス 外せば海の まぶしさよ
- サンダルさんだる夏に履く開放的な履き物。サンダルの 音軽やかに 夏の坂
- 菖蒲湯しょうぶゆ端午の節句に菖蒲の葉を入れた湯に浸かる風習。菖蒲湯や 子の背に香り しみわたる
- 白靴しろぐつ夏に履く白い靴。清潔感があり涼しげな白い靴は夏の装いの象徴として詠まれる。白靴の 少女駆けゆく 夏の朝
- 素足すあし靴や靴下を履かず素のままの足。素足にて 朝露踏みて 庭に出づ
- 素麺そうめん小麦粉を細く引き延ばした白い麺。素麺や 流れの末の 水きよし
- 田植たうえ水を張った田に稲の苗を植える農作業。田植する 祖父の背中の まるさかな
- 粽ちまき端午の節句に供える笹の葉で包んだ餅。粽解く 指に笹の香 ただよえり
- 籐椅子とういす籐を編んで作られた夏向きの椅子。籐椅子に 午後の日差しが 移りをり
- 心太ところてん天草を煮溶かして固めたゼリー状の食品を突き出したもの。心太 箸にすべりて また沈む
- 夏服なつふく夏に着る薄手で涼やかな衣服の総称。夏服の 袖ひるがへる 港かな
- 夏帽子なつぼうし夏に用いる帽子の総称。夏帽子 脱いで挨拶 する老爺
- 夏休みなつやすみ学校や職場が夏の暑い時期にとる長い休暇。夏休み ラジオ体操 朝の露
- 端居はしい夏の涼を求めて縁側や軒端に出て座ること。端居して 遠き山辺を 眺めをり
- 避暑ひしょ暑さを避けるため高原や海辺の涼しい場所へ出かけること。避暑の宿 ランプの明かり やはらかし
- 日焼けひやけ夏の強い日光を浴びて肌が褐色に焼けること。日焼けした 子らの歓声 夏終わる
- 冷し瓜ひやしうり井戸水や川水で冷やした瓜を食べること、またはその瓜をいう。冷し瓜 割れば夕べの 風来たる
- 冷麦ひやむぎ小麦粉から作った細い麺を冷やして食べる夏の料理。冷麦の 赤き一本 取り合へり
- 冷奴ひややっこ冷たく冷やした豆腐を薬味を添えて食べる夏の料理。冷奴 庭の静けさ 水の音
- 昼寝ひるね夏の昼の暑さの中、仕事や活動を休んでひとときまどろむこと。昼寝して 畳の跡の 頬にあり
- 風鈴ふうりん夏の風に吹かれて涼やかな音を奏でる小さな鈴。風鈴や 風の来るたび 揺れて鳴る
- プールぷーる夏の水泳や遊泳のために設けた人工の水場。プールより 帰りし子らの 髪匂ふ
- 蛍狩ほたるがり夏の夜、川辺や田の畔に蛍を見に行くこと。蛍狩 川の暗さに 手を伸ばす
- 水遊びみずあそび夏に川や池・噴水などで水に親しんで遊ぶこと。水遊び ぬれた足跡 ついてくる
- 麦刈むぎかり初夏に熟した麦を刈り取る農作業。麦刈の 終はりし丘に 鳶の笛
- 麦茶むぎちゃ炒った大麦を煮出した飲み物。麦茶注ぐ 音の涼しき 台所
- 夕涼みゆうすずみ夏の夕方に外に出て涼を楽しむこと。夕涼み 隣の声の 流れくる
- 浴衣ゆかた夏に着る薄手の木綿の着物。浴衣着て 下駄の鼻緒を すげかへる
- 林間学校りんかんがっこう夏休みに高原や山地で行われる学校の宿泊行事。林間学校 夜は星座の 名を習ふ
- 冷房れいぼう電気によって室内を冷やす装置・行為。冷房の 効いた電車に 眠りこむ
行事18語
年中行事や祭り、記念日や忌日など、暦と結びついた催しのことば。
- 海開きうみびらき海水浴場が夏季に正式に開放される行事。海開き 子らの歓声 砂に散る
- 遠泳えんえい夏の海や湖で行われる長距離水泳の行事。遠泳の 先頭の腕 光りけり
- 夏期講習かきこうしゅう夏休みに開かれる学習塾や予備校の集中講座。自転車で 夏期講習へ 坂のぼる
- 祇園祭ぎおんまつり京都八坂神社の夏祭り。路地裏に 祇園祭の 笛ひびく
- 鯉のぼりこいのぼり端午の節句に男児の成長を願って屋外に掲げる鯉の形をした吹き流し。鯉のぼり 風をはらみて ひるがへる
- 甲子園こうしえん八月に兵庫・阪神甲子園球場で開催される全国高校野球選手権大会。甲子園 砂を袋に 詰めて泣く
- 端午たんご五月五日の節句。男児の成長と無病息災を願い、鯉のぼりを立て菖蒲湯に入る風習が各地に伝わる。端午の日 鎧飾りに 父の顔
- 茅の輪ちのわ夏越の祓で神社の境内に設けられる茅で作った大きな輪。茅の輪へと 老いも若きも 列をなす
- 天神祭てんじんまつり大阪天満宮の夏祭り。橋の上 天神祭 船を待つ
- 土用の丑どようのうし土用中の丑の日。鰻を食べて夏の疲労回復を図る風習があり、江戸時代に広まったとされる。土用丑 鰻の煙 たちのぼる
- 夏越の祓なごしのはらえ六月三十日に行われる神社の祓行事。晴れ晴れと 夏越の祓 すませけり
- 夏祭なつまつり夏に各地で行われる祭礼や縁日。夏祭 神輿の声の 遠ざかる
- 夏詣なつもうで夏越の祓の後に神社へ参詣する風習。夏詣 杜の涼しさ 身に沁みる
- ねぶたねぶた青森市の夏祭り。灯を灯した巨大な張り子の人形が街を練り歩く。ねぶたの灯 夜風に揺れて 声あがる
- 御輿みこし夏祭りに担がれる神の乗り物。御輿行く 声に夏空 震えけり
- 山開きやまびらき富士山をはじめ各地の霊山が夏山登山のために解禁される行事。山開き 旗の頂 遥かなり
- ラジオ体操らじおたいそう夏休み中に公園や校庭で早朝に行われる体操。眠き目の ラジオ体操 背伸びかな
- 臨海学校りんかいがっこう夏休みに海辺で行われる学校の宿泊行事。臨海学校 波に揉まれて 笑ふ子ら
動物52語
鳥・虫・魚・獣など、季節ごとに姿を見せる生き物のことば。
- 穴子あなご夏に旬を迎える海の魚。穴子飯 夏の終わりを 惜しみつつ
- 油蝉あぶらぜみ夏の盛りに「ジリジリ」と油が煮えるような声で鳴く蝉。油蝉 声の束なる 大樹かな
- 雨蛙あまがえる雨の前後に木の葉や窓ガラスに張りつく小さな緑色のカエル。雨蛙 硝子戸越しに 目と目あう
- 水馬あめんぼ水面を素早く滑走する細長い昆虫。水馬の 影ひろがれる 池の底
- 鮎あゆ清流に棲む淡水魚で夏の代表的な川魚。鮎の瀬の 白きしぶきや 夏の川
- 蟻あり夏に地面を忙しく行き来する蟻。蟻の列 石の熱さを 越えてゆく
- 烏賊いか夏の夜に漁火を目指して集まる頭足類。烏賊釣りの 漁火遠く 夏の海
- 鵜う夏の鵜飼に用いられる水鳥。鵜の首の しなふや川の 夏の夜
- 浮巣うきすカイツブリなどの水鳥が水面に浮かぶ草などで作る巣。親鳥の 戻りて浮巣 しばし揺る
- 薄翅蜉蝣うすばかげろうアミメカゲロウ目ウスバカゲロウ科の昆虫で、幼虫は蟻地獄として知られる。夜の窓 薄翅蜉蝣 透きとほる
- 鰻うなぎ夏の土用丑の日に食べる習慣で知られる淡水魚。鰻割く 煙の白さ 夕河原
- 海亀うみがめ夏の夜に砂浜へ産卵のため上陸する大型の爬虫類。海亀の 砂を掘る音 夜の浜
- 落し文おとしぶみ夏、オトシブミの仲間が葉を巻いて作る揺籃。落し文 小径に拾ひ また戻す
- 蚊か夏の夜に刺してくる小さな昆虫。蚊の声す 暗き天井 見上げをり
- 河鹿かじか山間の清流に棲む小型の蛙。河鹿鳴く 谷の奥より 水の音
- かたつむりかたつむり梅雨の雨に濡れた葉の上をゆっくり移動する巻き貝。かたつぶり そろそろ登れ 富士の山一茶
- 郭公かっこう夏に渡来する渡り鳥。郭公の 声山の端に こだまする
- 鰹かつお夏の魚として親しまれる鰹。鰹切る 包丁の音 走りけり
- かぶとむしかぶとむし夏の夜に雑木林の樹液に集まる大型甲虫。かぶとむし 樹液の幹に 動かざる
- 翡翠かわせみ川辺に棲む宝石のような青緑色の鳥。翡翠の 水面をきつて 飛びにけり
- 金魚きんぎょ夏の縁日や水槽で色鮮やかに泳ぐ観賞魚。金魚売る 声の遠のく 夏の昼
- 草蛍くさほたる草むらに棲む小型の蛍の総称。草蛍 畦の暗さに ともりけり
- 蜘蛛くも夏に巣を張って活動する虫。蜘蛛の囲に 朝のしづくの 玉並ぶ
- 蜘蛛の巣くものす蜘蛛が軒下や草木の間に張りめぐらせる網。蜘蛛の巣に 日の差しこめる 納屋の窓
- 海月くらげ夏の海に大量発生する刺胞動物。舟べりを 海月ゆらりと 過ぎてゆく
- くわがたくわがた夏の夜の雑木林に現れる鍬形の大顎を持つ甲虫。くわがたの 大顎光る 夏の夜
- 子燕こつばめ夏に巣の中で親鳥に餌をねだるか、巣立ちを迎えたばかりの幼い燕。子燕の 口の赤さや 梅雨晴れ間
- 鷺さぎ白鷺や青鷺など、水辺に佇む首と脚の長い鳥の総称。鷺一羽 水の光を 踏みて立つ
- 沢蟹さわがに山間の清流に棲む小型の淡水蟹。沢蟹の 石より出でし 清水かな
- 蝉せみ夏の木陰で激しく鳴く昆虫。閑さや 岩にしみ入る 蝉の声芭蕉
- 蝉時雨せみしぐれ多くの蝉が一斉に鳴き立てる音が雨のように聞こえる様子。蝉時雨 宿題の手の 止まりがち
- 蛸たこ夏に旬を迎える頭足類の軟体動物。蛸壺を ならべて浜の 昼しづか
- 玉虫たまむし夏に現れる金属光沢の甲虫。玉虫の 光りながらに 幹を這ふ
- 蜥蜴とかげ夏の石垣や岩場で日光浴をする爬虫類。蜥蜴来て 石の熱さを 確かめる
- 飛魚とびうお夏の外洋に現れ、海面から飛び立って滑空する魚。飛魚の 翔びて舳先を 越えにけり
- 夏蛙なつがえる夏に田や池で活発に鳴く蛙。夏蛙 田の一枚に 声溢れ
- 夏燕なつつばめ夏の燕。春に渡来した燕が夏の盛りに子育てをしながら軒先を飛び交う様子をいう。夏燕 軒の巣雛の 声高く
- 夏の鷹なつのたか夏空を悠然と旋回する鷹。夏の鷹 空の芯より 落ちてくる
- 夏の蝶なつのちょう夏の強い日差しの中を飛び回る蝶。夏の蝶 ひらりと越ゆる 竹の垣
- 夏の猫なつのねこ夏の暑さにぐったりと伸びて日陰に寝そべる猫。夏の猫 石畳にて 溶けてをり
- 夏の蛇なつのへび夏に活動が最も盛んになる蛇。夏の蛇 草を分けゆく 音のみぞ
- 熱帯魚ねったいぎょ水槽の中で夏に色鮮やかさを増す観賞魚の総称。熱帯魚 水槽の青 揺れてをり
- 初鰹はつがつお初夏に黒潮に乗って北上する鰹の初物。初鰹 市の賑はひ 朝の風
- 初蝉はつぜみその夏に初めて聞く蝉の声。初蝉や 空の明るさ 変はりたる
- 鱧はも夏が旬の細長い海水魚。鱧の皮 しろく開いて 夏暮れぬ
- 雛燕ひなつばめ夏に巣立ちを迎えた燕の雛。雛燕 初めて空へ 羽ひろげ
- 蛍ほたる夏の夜に淡い光を点滅させながら飛ぶ昆虫。橋の下 くぐりて蛍 また一つ
- 蛍火ほたるび蛍が発する淡い光。蛍火の ひとつ消えたる 水の上
- 時鳥ほととぎす初夏から夏に渡来し、夜も鳴く渡り鳥。時鳥 夜更けの雨を 鳴きわたる
- 孑孑ぼうふら蚊の幼虫。溜まり水や水鉢にひょこひょこと泳ぐ姿は夏の風物詩であり、古くより俳句に詠まれてきた。孑孑の 浮き沈みする 水の縁
- 夜光虫やこうちゅう夏の夜の海で発光する単細胞生物。夜光虫 波の暗さに 灯をともす
- 守宮やもり夏の夜に灯りに集まる虫を求めて窓や壁を這う爬虫類。守宮また 壁の明かりに 張りつきぬ
植物45語
花・木・草・木の実・野菜など、季節の草木のことば。
- 青梅あおうめ初夏に青く固い実をつける梅の実。青梅の 重さにしなう 枝の先
- 青苔あおごけ夏の湿気に生き生きと緑を増す苔。青苔の 雨後に光りて 石の庭
- 青葉あおば夏の盛りに生い茂った青々とした木の葉。青葉風 吹き抜けてゆく 山の道
- 紫陽花あじさい梅雨の季節を彩る落葉低木。紫陽花や 色を変えゆく 雨の庭
- 岩煙草いわたばこ夏に山地の湿った岩壁に薄紫色の小さな花を咲かせる多年草。岩煙草 岩陰ひそと 紫に
- 萱草かんぞう夏に橙赤色の大輪の花を咲かせるユリ科の多年草。萱草の 橙揺れる 夏の土手
- 木苺きいちご初夏に赤や黄色の小さな実をつけるバラ科の低木。木苺の 赤を摘みたる 山の道
- 胡瓜きゅうり夏に細長い緑色の実をつけるウリ科の一年草。胡瓜もぐ 朝の畑に 露光る
- 夾竹桃きょうちくとう炎天下にも枯れず紅・白の花を咲かせる常緑低木。川べりの 夾竹桃の 白さかな
- 桐の花きりのはな初夏に薄紫色の花を円錐状につける落葉高木。桐の花 薄紫に 空高し
- 草茂るくさしげる夏の旺盛な生命力によって草が勢いよく生い茂ること。草茂る 石のあはひの 水の音
- 栗の花くりのはな初夏に白黄色の穂状の花を房状に咲かせる落葉高木。栗の花 風に匂いて 山の里
- 桑の実くわのみ初夏に赤から黒紫色に熟す桑の果実。桑の実を 摘みて指先 染まりけり
- 新緑しんりょく初夏に木々に萌え出た瑞々しい緑の葉。新緑の 光あふれて 谷深し
- 睡蓮すいれん夏に池や沼の水面に咲く多年草。睡蓮の 開きはじめし 朝の池
- 筍たけのこ初夏に竹林の地中から伸び出す竹の若芽。筍や 昨日も伸びて 今日も伸ぶ
- 立葵たちあおい梅雨の初めから夏にかけて、茎の下から順に大輪の花を咲かせる多年草。立葵 雨の中にも 高く咲く
- 蔦茂るつたしげる夏の盛りに蔦が旺盛に蔓を伸ばして壁や樹木を覆い尽くす様子。蔦茂る 古き石壁 夏の昼
- 茄子なす夏から秋にかけて紫色の光沢ある実をつけるナス科の一年草。もぎたての 茄子の光れる 籠の底
- 夏薊なつあざみ夏の野山に咲くアザミの総称。夏薊 とげとげしくも 咲き誇る
- 夏草なつくさ夏に勢いよく茂る草。夏草や 兵どもが 夢の跡芭蕉
- 夏木立なつこだち夏に深い緑葉を茂らせた樹木の茂みや並木。夏木立 風のとほらぬ 奥の道
- 夏椿なつつばき初夏に白い五弁の清楚な花を一日だけ咲かせる落葉高木。夏椿 白く落ちたる 朝の庭
- 夏の竹なつのたけ夏に青々と葉を繁らせた竹林。夏の竹 風の通れば 音涼し
- 夏の萩なつのはぎ夏に咲くマルバハギなど萩の仲間の総称。夏の萩 庭の片隅 こぼれ咲く
- 夏みかんなつみかん夏に橙黄色の大きな実をつける常緑低木。夏みかん 石垣越しに 黄く実る
- 夏柳なつやなぎ夏に緑の葉を長く垂らして茂る柳。夏柳 川風受けて 長く揺れ
- 夏蓬なつよもぎ夏に盛んに茂る蓬の総称。夏蓬 風の中にも 香り立つ
- 夏蕨なつわらび春の山菜として有名なワラビが夏に青々と葉を広げた状態。夏蕨 山の斜面を 覆いけり
- 合歓の花ねむのはな夏の夕暮れに淡い紅色の糸状の花を咲かせる落葉高木。合歓の花 夕風そよぐ 川の端
- 凌霄花のうぜんかずら夏に橙赤色の大きなラッパ形の花を咲かせるつる性落葉木本。塀越しに 凌霄花 垂れさがる
- 葉桜はざくら花が散って青葉が茂り始めた桜の木。葉桜の 風に光りて 昼静か
- 蓮はす泥の中から清らかな花を咲かせる水生植物。蓮開く 朝の静けさ 水の中
- 蓮田はすだ蓮を栽培している田。明けてゆく 蓮田に風の わたりけり
- 蓮の花はすのはな夏の早朝、泥中から清らかな大輪の花を咲かせる水生植物。蓮の花 夜明けに開く 音かすか
- 花菖蒲はなしょうぶ梅雨のころ池辺や湿地に咲く大輪の花。花菖蒲 雨に重たく 揺れている
- 薔薇ばら初夏から夏にかけて咲く華やかな花。薔薇挿して 机の上の 明るさよ
- 向日葵ひまわり太陽に向かって大きな黄色い花を咲かせる夏の花。向日葵の 高さに空の 青さかな
- 牡丹ぼたん初夏に大きく華麗な花を咲かせる植物。牡丹咲き 庭の静けさ 深まりぬ
- 水芭蕉みずばしょう初夏の湿原に白い仏炎苞を開く植物。水芭蕉 水の匂ひに 白く立つ
- 夕菅ゆうすげ夏の夕方から咲き始め翌朝には萎む淡黄色の花を咲かせる多年草。夕菅の ひらく高原 暮れなづむ
- 百合ゆり夏に大きく豪快な花を咲かせる草花。百合の香の 坂道のぼる 夕べかな
- 緑陰りょくいん青々と茂った木々が作る涼しい木陰。緑陰に 本を広げて 時忘る
- 若楓わかかえで初夏の楓の若葉。みずみずしい淡緑が光を透かし、夏へ向かう木々の勢いと涼しさを同時に感じさせる。若楓 光透かして 風に揺れ
- 若葉わかば初夏に芽吹いた柔らかい葉。若葉して 御目の雫 ぬぐはばや芭蕉