かわず季語辞典
冬の季語一覧
216語を収録
俳句の冬は、立冬(11月7日頃)から立春の前日までです。木枯らしや時雨のころに始まり、雪や霜、年の瀬、寒の内の厳しい冷え込みへと続きます。
季語は「時候」「天文」「地理」「生活」「行事」「動物」「植物」の分類ごとに並べています。季語を選ぶと、意味と例句を見られます。
時候27語
季節の移ろいや暦、暑さ・寒さなど、時の流れを表すことば。
- 大晦日おおみそか一年の最後の日、十二月三十一日。大晦日 定めなき世の さだめかな西鶴
- 寒かん小寒から節分までの約30日間を指す。寒に入る 空の青さよ 研ぎ澄まし
- 寒の入かんのいり小寒の日から節分まで続く「寒」の始まりのこと。寒の入 鉄瓶の湯の たぎる音
- 寒の内かんのうち小寒から節分までの間を指す語。寒の内 川音高く 夜が更けぬ
- 寒波かんぱ冬に到来する強い寒気の波。寒波来て 水道管の 声を聞く
- 小春こはる陰暦十月の異称で、春のように穏やかで暖かな冬初めの日和を指す。小春日や 縄手の道の 人まばら
- 小寒しょうかん一月六日頃の二十四節気のひとつ。小寒や 星の光の 鋭さよ
- 師走しわす陰暦十二月の異称。年の瀬の慌ただしさから師匠も走るほどという説がある、一年最後の忙しい月。駅までを 小走りに行く 師走かな
- 節分せつぶん立春の前日で、冬と春の境目にあたる日。節分の 夜の畳に 鬼の面
- 大雪たいせつ二十四節気の一つ。山々が雪に覆われ本格的な冬の到来を告げる時節で、熊が冬眠に入るとも言われる。大雪に 山の稜線 消えにけり
- 短日たんじつ冬に昼の時間が短いことを指す季語。短日や 石段のぼる 影うすく
- 大寒だいかん一月二十日頃の二十四節気で、一年中で最も寒さが厳しいとされる時期。大寒の 星のまたたき 止まぬ夜に
- 冬至とうじ一年で最も夜が長い日。冬至とや 暗き一日を 尽くしきり
- 年の内としのうちその年のうち、年末のうちという意味。年の内 書き終へし文 束ねけり
- 年の暮としのくれ一年の最後の時期。一年を締め括る気持ちと新年への期待が交差し、慌ただしくも感慨深い冬の季感。年の暮 また来し方を 振り返る
- 年の瀬としのせ年末の慌ただしい時期。年の瀬の 帳簿を閉ぢて 灯を消しぬ
- 春隣はるとなり厳冬のただなかにあって、もうすぐ春が来るという予感を詠む冬の時候語。春隣 くすりの袋 ひとつ減る
- 春待つはるまつ寒さの中に春の訪れを待ち望む心情を詠んだ表現。春待つや 窓の外なる 梅の枝
- 冬暖かふゆあたたか冬の季節にありながら暖かく穏やかな日のこと。縁側の 冬暖かに 爪を切る
- 冬ざれふゆざれ冬枯れの荒涼とした景色やさまを指す。冬ざれや 荒野に鳥の 一つ鳴く
- 冬の暁ふゆのあかつき冬の夜明け間際の刻。厨より 冬の暁 水の音
- 冬の朝ふゆのあさ夜が長く日の出が遅い冬の朝。冬の朝 霜踏む音の 庭わたる
- 冬の暮ふゆのくれ冬の夕暮れ時のこと。冬の暮 急に黒ずむ 道の先
- 冬の夜ふゆのよ冬の長い夜のこと。夜更けの冷気は鋭く澄み、静寂と寒さが深まる。冬の夜や 遠くに犬の 吠える声
- 冬の宵ふゆのよい冬の夜の宵の口。冬の宵 灯ともす頃の 匂いかな
- 冬深しふゆふかし冬がいよいよ深まったさまを表す語。冬深し 山の端に出る 月蒼く
- 立冬りっとう二十四節気の一つで冬の始まり。立冬や 空の色にも 冬来たり
天文32語
日・月・星、雨・風・雪・雲など、空や気象にまつわることば。
- 霰あられ小粒の氷が空から降る現象。石山の 石にたばしる 霰哉芭蕉
- 凍雨いてあめ雨粒が落下の途中で凍り、透明な小さな氷の粒となって降る現象。凍雨の 傘にはじけて 音硬し
- 風花かざはな晴天にもかかわらず、遠い山から風に運ばれてくる雪片が舞う現象。風花や 空の青さの まぶしくて
- 空風からかぜ乾燥した冷たい北風。空風に 暖簾揺れたる 宿の前
- 寒月かんげつ冬の冴えわたった月。寒月や 影も凍てたる 石畳
- 寒晴かんばれ寒の季節の晴れた空。寒晴や 屋根の雪だけ 光りたり
- 寒風かんぷう寒中に吹く冷たく厳しい風のこと。寒風や 一本道に 影もなし
- 北風きたかぜ冬に北から吹きつける冷たい風。北風や 骨まで冷ゆる 夕暮れに
- 木枯こがらし晩秋から初冬にかけて吹く強く冷たい北風。木枯らしや 海に夕日の 落ちる音
- 細雪ささめゆきひとひらひとひら、まばらにふわりと舞い落ちる細かな雪。細雪 灯台の灯を 包みけり
- 時雨しぐれ冬の初めに降ったりやんだりするにわか雨。旅人と 我名よばれん 初しぐれ芭蕉
- 霜しも夜間に冷え込んで地表や草木に降りる白い氷の結晶。霜の朝 草の葉先の 白きこと
- 初霜はつしもその冬に初めて降りる霜。初霜や 草のひとひら 白くなり
- 初雪はつゆきその冬に初めて降る雪。初雪や 水仙の葉の たわむまで芭蕉
- 吹雪ふぶき強風に伴って雪が激しく舞い散る状態。吹雪来て 野も道もなき 白さかな
- 冬嵐ふゆあらし冬に吹き荒れる激しい風と雨や雪を伴う嵐。冬嵐 家々の灯は 早く落ち
- 冬霞ふゆがすみ冬に漂う霞。春の霞とは異なり冷たく白々とした霞が冬の野山を覆い、寂寥とした冬の情景を作り出す。冬霞 遠山薄く 消えにけり
- 冬霧ふゆぎり冬に発生する霧。冷え込みが厳しい朝に川面や野に立ち込め、白く煙る幻想的な景色をつくる。冬霧や 橋の欄干 ぬれそぼつ
- 冬銀河ふゆぎんが冬の夜空に輝く銀河。冬銀河 吸い込まれそな 深さかな
- 冬曇ふゆぐもり冬の重く鈍い曇り空のこと。冬曇 山の輪郭 消えにけり
- 冬凪ふゆなぎ冬の穏やかな凪のこと。冬凪や 沖の船影 動かずに
- 冬の雨ふゆのあめ冬に降る冷たく暗い雨。冬の雨 軒を叩いて 夜更けたる
- 冬の月ふゆのつき冬の澄み切った夜空に冷たく輝く月。冬の月 冴えて道なる 影一つ
- 冬の虹ふゆのにじ冬に現れる珍しい虹。冬の虹 川の向こうに 薄れけり
- 冬の星ふゆのほし冬の澄んだ夜空に鋭く輝く星々。冬の星 オリオン高く 冴えにけり
- 冬晴ふゆばれ冬の晴れ渡った空のこと。冬晴の 富士くっきりと 立ちにけり
- 冬日和ふゆびより冬の穏やかに晴れた好天。冬日和 縁側に猫 丸くなる
- 霙みぞれ雨と雪が混じって降るもの。霙降る 夕べ傘さす 音もなく
- 雪ゆき冬の空から降る白い結晶。是がまあ つひの栖か 雪五尺一茶
- 雪雲ゆきぐも雪を降らせる鉛色の雲。雪雲に 山の姿の 消えにけり
- 雪晴ゆきばれ雪が降り止んだ後に現れる晴天。雪晴の 峰ひとつずつ 名を覚ゆ
- 雪催ゆきもよい今にも雪が降り出しそうな空模様や気配のこと。雪催 鳥も静かに 飛ばぬかな
地理19語
山・野・川・海・田畑など、大地や水辺の季節の姿を表すことば。
- 凍滝いてたき冬の寒さで凍り付いた滝。凍滝や 音のみ残り 奥の方
- 凍土いてつち厳しい寒さで固く凍りついた土。凍土踏む 農夫の息の 白きかな
- 枯野かれの草木の枯れた荒涼とした野のこと。枯野行く 風だけ急ぐ 昼下がり
- 枯山かれやま木々の葉が落ち、茶褐色の枝だけが目立つ冬の山。枯山の 尾根に夕日の 長く射す
- 寒の水かんのみず寒の入りから節分までの間に汲んだ水。寒の水 朝一番に 汲みにけり
- 狐火きつねび冬の夜に野原や墓地などで見られる青白い炎のような光。狐火の 消えたる野辺の 月明り
- 氷こおり水が凍ってできた固体。氷張る 池に青空 映りけり
- 氷柱つらら軒先や岩壁から滴り落ちた水が凍って垂れ下がったもの。氷柱垂る 堂の軒端の 朝静か
- 冬景色ふゆげしき雪や霜に包まれた冬の野山の景色。冬景色 どこも同じく 白き野よ
- 冬田ふゆた稲刈りを終えて冬枯れた田んぼ。冬田には 霜のみ白く 残りたり
- 冬の池ふゆのいけ冬の静まり返った池。冬の池 底まで澄みて 動かざる
- 冬の海ふゆのうみ冬の荒涼とした海。冬の海 鉛の色に 鳴りやまず
- 冬の川ふゆのかわ冬の水量が少なく、清冽な流れを見せる川。冬の川 石ばかりなり 透き通る
- 冬の滝ふゆのたき冬枯れの中を流れ落ちる滝。冬の滝 細く一筋 落ちにけり
- 冬の水ふゆのみず冬の井戸や川の水は澄み切り、骨まで沁みるほど冷たい。冬の水 桶に汲みたる まま澄みぬ
- 冬の湖ふゆのみずうみ冬の湖沼。岸辺から氷が張り出し、水面は鈍く光る。冬の湖 水鳥一羽 岸に寄る
- 冬の山ふゆのやま冬枯れの山や雪をいただいた山のこと。冬の山 動くものとて 何もなし
- 雪野ゆきの雪に覆われた広大な野。雪野ゆく 一本道の 消えがちに
- 雪原ゆきはら一面に雪が積もった広大な野原。雪原に 足跡ひとつ 続きたり
生活52語
衣食住や仕事、遊びなど、人の暮らしにまつわることば。
- 息白しいきしろし冷気の中で吐く息が白く見えること。息白し 子らの声だけ 先を行く
- 囲炉裏いろり床に切った四角い炉で薪や炭を燃やし、暖をとりながら煮炊きもする日本の伝統的な設備。囲炉裏火に 父の影ゆれ 夜が更ける
- おでんおでんだし汁で大根・こんにゃく・練り物などをじっくり煮込んだ料理。おでん屋の 湯気と灯りに 人集ふ
- 火事かじ空気が乾燥する冬に多く発生する火災。火事の空 遠くに赤し 冬の月
- かじかむかじかむ寒さのために手足がかじかみ、思うように動かなくなる状態。かじかむ手 こすり合わせて 電車待つ
- 粕汁かすじる酒粕を溶かした汁に大根・人参・鮭などを加えた汁物。粕汁に 祖父の眼鏡の 曇りけり
- 鴨鍋かもなべ鴨肉と野菜を出汁で煮る鍋料理。鴨鍋の 香り漂ふ 夜の店
- 鴨猟かもりょう冬に飛来する鴨を対象とした狩猟。鴨猟の 網を張りたる 夜明けかな
- 寒稽古かんげいこ寒中の厳しい寒さの中で行う武道や芸道の稽古。寒稽古 竹刀の音の 揃ひけり
- 寒造りかんづくり寒の時期に仕込む酒や醤油・味噌などの醸造のこと。寒造り 蔵の奥より 櫂の歌
- 外套がいとう冬の防寒用の厚手のコートの総称。外套の 襟立てて行く 朝の駅
- 着脹れきぶくれ寒さを防ぐために衣類を何枚も重ねて着込み、体が丸く膨らんで見える様子。着脹れの ランドセルの子 跳ねてゆく
- 炬燵こたつ熱源を囲んで暖を取る日本固有の暖房器具。炬燵出て 廊下の冷えに 立ち止まる
- 酒粕さけかす日本酒の醸造後に残る粕。酒粕の とけゆく鍋を 搔き回す
- しもやけしもやけ寒さで手足の指先や耳などの皮膚が赤く腫れ、かゆみや痛みを生じる症状。しもやけの 指かくしつつ 筆を持つ
- 障子しょうじ和紙を貼った引き戸で、外の光と冷気を柔らかく遮る。明け初むる 障子一枚 ほの白し
- スケートすけーと冬に凍った池や専用リンクで滑るスポーツ。スケートの 刃の音遠く なりにけり
- 煤払すすはらい年末に家の煤や埃を払い清める行事。煤払 はたきの先を 猫逃ぐる
- 炭すみ火鉢や炉に使う燃料で、白炭(備長炭など)と黒炭の種類がある。炭つぎて ひとり静かに 本を読む
- 炭火すみび木炭を燃やした火のこと。炭火爆ぜ また静まりし 夜更けかな
- 雑炊ぞうすい残ったご飯で作る温かい粥料理。雑炊の 湯気に顔あて 母の声
- 鷹狩たかがり訓練した鷹を使って野鳥や小動物を捕らえる伝統的な狩猟。鷹狩の 一声高く 野に響く
- 焚き火たきび冬の屋外で枯れ葉や木を燃やす火。焚き火の輪 知らぬ同士も 手をかざす
- 暖炉だんろ室内の壁に設けた薪や石炭を燃やす暖房装置。暖炉燃ゆ 膝をかかえて 本を読む
- 手焙りてあぶり手を温めるための小型の火鉢や炉のこと。手焙りや 老いの指先 赤くなり
- 手袋てぶくろ寒さから手を守るために用いる防寒具。手袋を 片方落とし 気づかずに
- 冬至南瓜とうじかぼちゃ冬至の日に無病息災を願って食べる南瓜。ほくほくと 冬至南瓜の 煮えにけり
- 冬至粥とうじがゆ冬至の日に食べる小豆粥のこと。冬至粥 小豆の赤が 温かく
- 年の市としのいち年末に立つ市。正月用品や飾り物・食材などを商う店が並び、買い物客でにぎわう。年の市 人の波間に 押されつつ
- 鍋なべ冬に家族や仲間が囲む煮物料理の総称。鍋囲み 話はずみて 夜が更けぬ
- 根深汁ねぶかじる冬葱(白葱)を使った味噌汁や吸い物。根深汁 朝の一杯 身に沁みぬ
- 羽子板市はごいたいち十二月に羽子板を売る市。羽子板市 大きな顔の 並びけり
- 火桶ひおけ炭火を入れて暖を取る丸い木製の器。火桶より 温もり伝ふ 冬の夜
- 火鉢ひばち炭火を入れて暖をとる容器。火箸もて 火鉢の灰に 字を書けり
- 懐手ふところで寒さをしのぐため両手を懐に入れて歩くこと。懐手して 見上げたる 冬の空
- 冬着ふゆぎ冬に着る厚手の衣類の総称。冬着出す ポケットの底 飴ひとつ
- 冬籠りふゆごもり冬の寒さを避けて家にこもること。冬籠り 本と茶だけの 日々静か
- 冬座敷ふゆざしき冬の間の日本家屋の座敷。冬座敷 障子の向こう 雪明かり
- 冬の旅ふゆのたび冬の寒さの中を移動する旅のこと。冬の旅 枯れ野つづきて 人もなし
- 冬の灯ふゆのひ日暮れの早い冬、室内に灯される明かりのこと。冬の灯の 窓より洩れて 路地あかし
- 冬の宿ふゆのやど旅人が冬の夜を過ごす宿のこと。冬の宿 灯りひとつに 湯の湧きて
- 冬帽子ふゆぼうし冬に被る防寒用の帽子。冬帽子 深くかぶりて 風の中
- マフラーまふらー首に巻く防寒具。冷たい風から首を守るマフラーは、冬の外出の必需品として冬の装いを代表する。マフラーに 半分隠す 横顔よ
- 豆炭まめたん石炭粉を固めた小型の燃料。豆炭の 赤くなるまで 火を見つむ
- 毛布もうふ羊毛や化繊の厚い布で、寝具や膝掛けに用いる防寒具。毛布から 手だけを出して 本を読む
- 雪掻きゆきかき積もった雪を道路や玄関先などから除ける作業。雪掻きの 隣と言葉 交はしけり
- 雪だるまゆきだるま降り積もった雪を丸めて積み重ねて作る雪像。雪だるま 日暮れて目鼻 崩れたり
- 雪吊ゆきつり雪の重みで木の枝が折れないよう縄で吊る冬の庭仕事。雪吊の 縄張りわたる 庭静か
- 湯気ゆげ冷えた空気の中で湯や料理から立ちのぼる白い蒸気。湯気たちて 厨ほのかに 明るけり
- 湯たんぽゆたんぽお湯を入れて布団を暖める道具。湯たんぽを 抱いて眠れる 冬の夜
- 湯豆腐ゆどうふ昆布だしで豆腐を温めて食べる冬の料理。湯豆腐や 向かひに座る 母の顔
- 綿入れわたいれ表地と裏地の間に綿を詰めた防寒着や寝具。綿入れを 肩にかけつつ 針を持つ
行事19語
年中行事や祭り、記念日や忌日など、暦と結びついた催しのことば。
- お歳暮おせいぼ年末に日頃お世話になった人に贈り物をする風習。お歳暮の のし紙にある 恩師の名
- 神楽かぐら神社で神に奉納する舞や音楽。神楽鈴 鳴らして舞ふや 冬の夜
- 寒行かんぎょう大寒の時期に行われる修行。寒行の 水に声あげ 打たれけり
- 寒垢離かんごり寒中に冷水を浴びて心身を清める修行。寒垢離や 白き息吹く 水の音
- 寒参かんまいり寒の入りから立春までの厳しい寒さの中、毎日社寺に参拝する修行的な行為。寒参り 提灯の火の のぼりゆく
- クリスマスくりすます十二月二十五日のキリスト降誕祭。クリスマス 窓の灯りに 子らの影
- 七五三しちごさん十一月十五日に子どもの成長を祝って神社に参る行事。七五三 晴れ着の袖を 引く子かな
- 注連張しめはり年末に神社や家の入口などに注連縄を張り、神聖な場所を清める行事。注連張の 済みし鳥居の しづけさよ
- 十夜じゅうや旧暦十月を中心に営まれる浄土宗の法会。十夜かな 念仏の声 夜にひびく
- 除夜じょや大晦日の夜、年が替わる瞬間まで。除夜の鐘 ひとつ鳴るたび 息白し
- 除夜の鐘じょやのかね大晦日の夜半から寺院が百八つ突く梵鐘の音。除夜の鐘 数へながらに 眠りけり
- 大根炊きだいこだき冬に寺院などで無病息災を祈願し、大根を炊いて参拝者に振る舞う行事。大根炊き 湯気の立ちこむ 寺の庭
- 冬至風呂とうじぶろ冬至の日に柚子を浮かべた風呂に入る習慣。冬至風呂 柚子の香りに 身をゆだね
- 年忘れとしわすれその年の苦労や憂さを忘れようと行う忘年会の宴。年忘れ 笑ひ納めて 散りにけり
- 新嘗祭にいなめさい十一月二十三日に新穀を神々に供え感謝する宮中祭祀。篝火に 新嘗祭の 夜更けゆく
- 報恩講ほうおんこう親鸞聖人の忌日にちなむ浄土真宗の大切な法会。煮しめ盛る 報恩講の 寺の膳
- 豆撒まめまき節分の夜に「鬼は外、福は内」と唱えながら炒り豆を撒く行事。豆撒や 子の声高き 夜の庭
- 餅搗きもちつき年末に正月用の餅を搗く行事。餅搗きの 臼の響きや 夜の庭
- ゆず湯ゆずゆ冬至にゆずを入れた風呂に入る風習。ゆず湯かな 香の立つ湯気に 包まれて
動物27語
鳥・虫・魚・獣など、季節ごとに姿を見せる生き物のことば。
- 鮟鱇あんこう冬に味がよいとされる深海魚。鮟鱇の 口の大きさ 市寒し
- 兎うさぎ冬山や雪野を駆け回るウサギ。兎跳ぶ 雪野の果ての 暮れにけり
- 鴨かも冬に北から渡ってくる水鳥。海くれて 鴨のこゑ ほのかに白し芭蕉
- 鷗かもめ冬の海岸や河口に群れる海鳥。鷗鳴く 冬の港に 風立てり
- 寒鴉かんがらす厳寒のなか枯れ木や電柱に止まるカラス。寒鴉 ひと声のあと 動かざる
- 寒鯉かんごい冬の澄んだ池や川でじっと動かず底に沈む鯉。寒鯉や 池の底ひに 影うごく
- 寒雀かんすずめ寒中の雀。羽をふくらませて軒下や生垣に群れる姿が、冬の小さな命の温かさと寒さを際立たせる。寒雀 垣根の影を こぼれけり
- 寒鮒かんぶな寒中の池や沼でじっと底に潜む鮒。寒鮒や 糸一筋の 竿の先
- 寒鰤かんぶり冬の日本海で脂がのり最も美味しくなるブリ。寒鰤の 銀鱗まぶし 競りの声
- 狐きつね冬の野山に気配を残す獣。狐鳴く 雪の畦道 月細し
- 熊くま冬の動物として詠まれる熊。熊の跡 雪の林へ 消えにけり
- 熊穴に入るくまあなにはいる冬眠に入るために穴に籠る熊。熊穴に 入りて山また 静かなり
- 鮫さめ冬の魚として詠まれる大型の軟骨魚。鮫の尾の 氷に触るる 魚市場
- 鷹たか冬の空や狩の景に現れる猛禽。鷹一つ 見つけてうれし 伊良湖崎芭蕉
- 狸たぬき冬の里山や人家近くに現れる獣。狸来て 雪の庭先 乱しけり
- 千鳥ちどり冬の砂浜や干潟を小走りに歩く小鳥。千鳥鳴く 潟の夕暮れ 人もなし
- 鶴つる冬に越冬地に渡来するタンチョウなどの大型の鳥。鶴歩む 足をしづかに 上げ下ろし
- 冬眠とうみん熊や蛇・カエルなどが体温を下げて冬を越す生理現象。冬眠の 熊のごとくに 眠れかし
- 白鳥はくちょうシベリアなどから渡ってくる冬の渡り鳥。白鳥の 首を伸ばして 夕焼けに
- 冬鴉ふゆがらす冬枯れの野や街を飛び回るカラス。冬鴉 ひとつ枯野を 横切れり
- 冬の蝶ふゆのちょう冬に稀に飛ぶ蝶のこと。冬の蝶 日だまりに来て 翅たたむ
- 冬の鳥ふゆのとり冬に見られる鳥の総称。冬の鳥 枯れ枝高く 動かずに
- 冬の蝿ふゆのはえ冬に室内などで生き残っている蝿。冬の蝿 障子の桟に よろめけり
- 冬の蜂ふゆのはち冬に稀に姿を現す蜂。冬の蜂 硝子に翅の 音かすか
- 水鳥みずどり冬に湖沼や河川に集まる水辺の鳥の総称。水鳥の ひく波の輪の ひろがれり
- 鷦鷯みそさざい日本最小クラスの小鳥。鷦鷯 瀬音に負けぬ 声を張る
- 鷲わし冬に北方から渡ってくる大型の猛禽類。鷲一羽 冬の浜辺を 舞ひ上がる
植物40語
花・木・草・木の実・野菜など、季節の草木のことば。
- 落葉おちば冬に木々から落ちて地を覆う葉。落葉踏む 音の寂しき 夕べかな
- 蕪かぶ冬の代表的な根菜で、丸い白い根が地上に顔を出す。蕪引けば 土のにほひの 立ちのぼる
- 枯蘆かれあし冬に枯れたアシ(葦)のこと。枯蘆の 風の通れば 揺れにけり
- 枯尾花かれおばな冬に枯れたススキの穂。枯尾花 風に乱れて 夕暮れぬ
- 枯蓮かれはす冬枯れした蓮の茎と実のこと。枯蓮の 池に影さす 昼静か
- 枯葎かれむぐら冬に枯れたヤエムグラなどの草。枯葎 踏んで近道 する子らよ
- 寒菊かんぎく厳冬期に咲く菊の総称。寒菊や 霜に打たれて 香りたつ
- 寒竹かんちく冬の竹林の竹。寒竹の 風に鳴りあふ 夜更けかな
- 寒椿かんつばき冬の寒さの中で赤い花を咲かせるツバキ。寒椿 雪にうずもれ 紅ひとつ
- 寒梅かんばい寒中に咲く早咲きの梅。寒梅や 父の遺せし 古硯
- 寒木瓜かんぼけ冬から早春にかけて枝に赤や白の花をつける木瓜のこと。寒木瓜の 紅一輪の 垣根かな
- 寒牡丹かんぼたん冬に咲く牡丹。寒牡丹 藁に守られ 咲きにけり
- 山茶花さざんか冬の庭に赤や白の花を咲かせる常緑樹。山茶花の 散りて濡れたる 石畳
- 水仙すいせん冬の寒さの中で白や黄の清楚な花を咲かせる球根植物。水仙や 白き障子の とも移り芭蕉
- 千両せんりょう冬に赤い実をつける常緑低木。千両の 赤き実こぼす 冬の庭
- 大根だいこん冬を代表する根菜。白く太い根を大地に蓄え、霜の降りた朝に収穫される。大根の 白さ厨を 明るくす
- 石蕗の花つわぶきのはな冬に黄色い菊に似た花を咲かせる常緑多年草。石蕗の花 黄色く咲きぬ 冬の庭
- 南天なんてんメギ科の常緑低木で、冬に真っ赤な実を房状につける。南天の 実のこぼれゐる 手水鉢
- 葱ねぎ冬に旬を迎える代表的な野菜。葱畑 霜に白みて 朝の風
- 白菜はくさい冬の畑に列をなして育つ大型葉野菜。白菜の 畑に霜の 降りにけり
- 葉牡丹はぼたんケール系の葉物植物で、紅白の大きな葉が牡丹の花に似る。葉牡丹の 白きをそろへ 年の門
- 百両ひゃくりょう冬に赤い実をつける常緑低木で、カラタチバナの別名がある。百両の 鉢を据ゑたる 店の前
- 枇杷の花びわのはな晩秋から冬にかけて咲く常緑樹の小さな白い花。枇杷の花 ひそかに白し 霜の庭
- 冬苺ふゆいちご冬に実をつけるバラ科の野生植物。冬苺 摘む子の指の 染まりけり
- 冬枯ふゆがれ冬に草木が枯れ死んだように見える状態。冬枯や 風の渡りし 野の広さ
- 冬木ふゆき葉を落とした冬の落葉樹のこと。冬木みな 細き枝先 空に張る
- 冬菊ふゆぎく冬になっても咲き残る菊の総称。冬菊や 霜を被りて 紅深し
- 冬木立ふゆこだち葉を落として立ち並ぶ冬の木々。冬木立 空を割りたる 枝の影
- 冬苔ふゆごけ冬の石や地面を覆う苔。冬苔の 濡れて光るや 霜の後
- 冬珊瑚ふゆさんごナス科の観賞植物。冬に橙・赤・黄など色とりどりの小さな実をつけ、庭先や鉢植えで愛でられる。冬珊瑚 軒に吊るせる 色明り
- 冬蔦ふゆつた葉を落とした後も壁や木肌に貼りついて残る蔦の蔓。冬蔦の 壁に絡まる 夜の雨
- 冬菜ふゆな冬に栽培・収穫される野菜の総称。冬菜抜く 畑に霜の 白々と
- 冬の杉ふゆのすぎ冬の山野に黒々とそびえる杉の木。冬の杉 黒々として 峰に立つ
- 冬の松ふゆのまつ冬に緑を保つ松の木。冬の松 一本立てり 岩の上
- 冬薔薇ふゆばら冬に凛として咲く薔薇。冬薔薇の 凛と咲きたる 庭の隅
- 万両まんりょう冬に赤い実を垂らす常緑低木。万両の 実の重たさよ 冬の庭
- 蜜柑みかん冬を代表する柑橘果物。蜜柑むく 指先ほのと 香り立つ
- 実南天みなんてん冬に赤く熟する南天の実。実南天 雨に光りて 風の中
- 藪柑子やぶこうじ林の下草に生える小低木で、冬に赤い小さな実をつける。藪柑子 雪の重さに 実を垂れて
- 蠟梅ろうばい真冬に半透明の黄色い花を咲かせる落葉低木。蠟梅や 透きとほりたる 冬の朝