かわず季語辞典
秋の季語一覧
245語を収録
俳句の秋は、立秋(8月7日頃)から立冬の前日までです。残暑のころに始まり、月や虫の音、実りや紅葉の季節へと深まっていきます。
季語は「時候」「天文」「地理」「生活」「行事」「動物」「植物」の分類ごとに並べています。季語を選ぶと、意味と例句を見られます。
時候28語
季節の移ろいや暦、暑さ・寒さなど、時の流れを表すことば。
- 秋惜しむあきおしむ過ぎゆく秋を名残惜しく思うこと。秋惜しむ 夕べの空の 色深し
- 秋涼しあきすずし秋になって感じられる涼しさ。秋涼し 夕べの川の 瀬音かな
- 秋澄むあきすむ秋になって大気が澄み渡り、遠くまで見通せるようになること。秋澄むや 遠くの山の 襞いくつ
- 秋の朝あきのあさ秋特有の澄んだ空気の中、冷涼な朝の情景。秋の朝 露けき道を 一人行く
- 秋の暮あきのくれ秋の日暮れ時。夏より急に早く暮れる秋の夕暮れは寂しさを増幅させ、物思いに誘う秋ならではの時刻。この道や 行く人なしに 秋の暮芭蕉
- 秋の暮方あきのくれがた日が短くなった秋の夕暮れどき。寺の鐘 秋の暮方 遠く鳴る
- 秋の昼あきのひる秋の日中の静かな時間。秋の昼 風なく野辺に 影長し
- 秋の夜あきのよ秋の夜は長く、冷えた空気の中で虫の音が響く。秋の夜や 灯の下に読む 古き文
- 秋の宵あきのよい秋の夜の入り口、宵の口。秋の宵 灯ともす窓の 明かりかな
- 秋彼岸あきひがん秋分の日を中日とする七日間の彼岸。秋彼岸 墓に香煙 立ちのぼる
- 秋深しあきふかし秋がいよいよ深まった頃合いを表す。秋深き 隣は何を する人ぞ芭蕉
- 寒露かんろ十月八日頃の節気。露が冷たく感じられるほど気温が下がり、秋が深まって冬の気配が漂い始める時期。寒露降る 夜明けの田には 霧が立つ
- 爽やかさわやか秋の清々しく快い気候の様子。爽やかや 朝の光の 石畳
- 残暑ざんしょ立秋を過ぎても続く暑さ。残暑なほ 夕べの風も 生ぬるく
- 秋気しゅうき秋の気配・雰囲気。秋気満つ 野の果てまでの 夕焼けよ
- 秋暁しゅうぎょう秋の夜明け前の時刻。秋暁や 霧の中なる 鐘の音
- 秋分しゅうぶん昼と夜の長さがほぼ等しくなる日。秋分の 日の傾きて 早くなる
- 秋冷しゅうれい秋が深まるにつれて感じられる冷たさ。秋冷や 川沿いの道 人まばら
- 初秋しょしゅう秋の初めの頃。暑さが和らぎ、朝晩に涼しさが感じられるようになる頃で、立秋の後の季節感を指す。初秋の 朝光淡く 田に満てり
- 処暑しょしょ八月二十三日頃の節気。処暑過ぎて ほのと涼しき 朝の風
- 霜降そうこう十月二十三日頃の節気。霜降の 山の端白く 染まりけり
- 仲秋ちゅうしゅう秋の中ほど、旧暦八月の別称。仲秋の 野を渡りくる 風清し
- 白露はくろ九月八日頃の節気。草の葉に白い露が結ぶようになり、朝晩の冷え込みが感じられる秋の深まりの頃。登校の 靴のぬれたる 白露かな
- 晩秋ばんしゅう秋の終わりの頃。落葉が進み、朝晩の冷え込みが厳しくなって冬の訪れを感じさせる時期。晩秋の 光やはらか 枯れ野かな
- 行く秋ゆくあき秋が過ぎ去ろうとしている晩秋の頃を指す。行く秋や 旅の鞄の 紐ほどく
- 夜寒よさむ秋が深まるにつれ、夜の冷え込みが増してくる頃合い。夜寒やと 目覚めて聞けば 虫の声
- 夜長よなが秋分を過ぎてから夜が長くなる秋の季感。頁繰る 音のみ聞こゆ 夜長かな
- 立秋りっしゅう二十四節気の一つで秋の始まり。立秋や 汗の中にも 秋の風
天文28語
日・月・星、雨・風・雪・雲など、空や気象にまつわることば。
- 秋風あきかぜ秋に吹く涼しく乾いた風。秋風や 薮も畠も 不破の関芭蕉
- 秋雨あきさめ秋に降るしっとりとした雨。秋雨や 軒の雫の 数えられ
- 秋高しあきたかし秋の澄んだ空気のもと空が高く感じられること。秋高し 遠山の襞 くっきりと
- 秋の色あきのいろ秋の景色を彩る赤や黄、茶の諸色。秋の色 野山に満ちて 日の暮れる
- 秋の雷あきのかみなり秋に鳴る雷。夏の雷に比べて遠く低く聞こえ、秋の終わりを告げるような寂しさを感じさせる。秋の雷 遠く鳴りたる 夕べかな
- 秋の霜あきのしも秋に草や地面に降りる霜。秋の霜 畑の畝の 白みけり
- 秋の空あきのそら高く澄み渡った秋特有の空。秋の空 高くさびしく 晴れわたる
- 秋の虹あきのにじ秋の澄んだ空に架かる虹。秋の虹 山を渡りて 消えにけり
- 秋の星あきのほし秋の澄んだ夜空に輝く星。秋の星 瞬くたびに 冷え増して
- 秋晴あきばれ秋に訪れる抜けるように澄み渡った晴天。秋晴れや 遠き山まで 澄みわたる
- 秋日和あきびより穏やかで晴れた秋の天気。秋日和 畑の案山子 ゆれにけり
- 天の川あまのがわ秋の澄んだ夜空に白く輝く星の帯。荒海や 佐渡によこたふ 天河芭蕉
- 有明月ありあけのつき夜明けまで空に残る月。ふりむけば 有明月 山の端に
- 十六夜いざよい旧暦八月十六日の月。十六夜の 遅き出を待つ 湖畔かな
- 稲妻いなずま秋の夜空を鋭く走る雷光。稲妻や 畦の水面を 白く裂き
- 芋名月いもめいげつ中秋の名月の別称。収穫した里芋を供えることからこの名がある。あぜ道を 芋名月と 帰りけり
- 鰯雲いわしぐもうろこ状に広がる巻積雲。鰯雲 港の屋根を 越えてゆく
- 霧きり秋の朝に低く立ち込める霧。霧の中 山も里もの 定まらず
- 霧雨きりさめ霧のように細かい雨。霧雨に しづくを垂るる ベンチかな
- 秋霖しゅうりん秋に長く降り続く雨。秋霖や 軒に滴る 音絶えず
- 台風たいふう主に夏から秋にかけて日本を襲う熱帯性低気圧。台風の 去りて青空 澄み渡る
- 露つゆ秋の夜明けに草木に結ぶ水滴。露の玉 ひとつこぼれて またひとつ
- 天高してんたかし秋の空が高く澄み渡って見える様子。天高し 校庭に引く 白き線
- 後の月のちのつき十三夜の月のこと。中秋の名月を「前の月」と呼ぶのに対する称。後の月 一人静かに 仰ぎけり
- 名月めいげつ陰暦八月十五日の夜の月。名月を とってくれろと 泣く子かな一茶
- 望月もちづき満月のこと。旧暦八月十五日の中秋の名月を指す場合に多く使われ、丸く満ちた月の美しさを詠む。望月の 光あまねし 屋根瓦
- 望の夜もちのよ満月の夜。望の夜や 池の面まで 月明かり
- 夜霧よぎり秋の夜に立ち込める霧。夜霧立つ 港の明かり にじみけり
地理18語
山・野・川・海・田畑など、大地や水辺の季節の姿を表すことば。
- 秋出水あきでみず秋の長雨や台風によって河川が増水すること。秋出水 村の石橋 沈みけり
- 秋の磯あきのいそ秋の磯辺。秋の磯 波の引きたる 石の白
- 秋の海あきのうみ夏の賑わいが去り、静かになった秋の海。秋の海 鴎一羽が 遠く鳴く
- 秋の川あきのかわ秋の川は水量が落ち着き、澄んだ流れとなる。秋の川 飛び石わたる 子の歩幅
- 秋の田あきのた稲の実った秋の田んぼ。夕風の 秋の田を行く 郵便夫
- 秋の峠あきのとうげ秋の山越えの峠。紅葉の中を吹き抜ける冷たい風と眼下に広がる錦の山々が旅人の心を打つ。茶屋ひとつ 秋の峠に 残りけり
- 秋の燈台あきのとうだい秋の澄んだ空気の中に立つ灯台。沖遠く 秋の燈台 光投ぐ
- 秋の野あきのの草が枯れはじめ、秋の七草などが咲き残る野原。秋の野を 風の吹きゆく 夕べかな
- 秋の浜あきのはま人影の絶えた秋の浜辺。秋の浜 ひとり歩めば 波ひびく
- 秋の原あきのはら秋の野原。萩や芒など秋の草花が咲き、虫の声が聞こえる広々とした原野の情景。秋の原 風は静かに 雲動く
- 秋の水あきのみず秋に清澄さを増した水。秋の水 汲みて手のひら 澄みにけり
- 秋の湖あきのみずうみ秋深まる頃の湖。四周の山の紅葉が水面に映え、静かな湖面には冷えた空気と静寂が満ちている。秋の湖 岸の紅葉を 映しけり
- 秋の道あきのみち落ち葉が積もり、枯れた草の匂いが漂う秋の路。秋の道 踏めば落ち葉の 音響く
- 秋の港あきのみなと秋風が吹き渡り、漁船や貨物船が静かに停泊する港。舫ひ綱 秋の港に 軋みけり
- 秋の峰あきのみね澄み渡った秋空にくっきりと聳える峰。秋の峰 雲ひとつなく 晴れわたる
- 秋の山あきのやま紅葉が始まり、色彩豊かに彩られた山の景色。秋の山 裾まで染まる 夕茜
- 刈田かりた稲を刈り取った後の田んぼ。刈田風 吹き渡りゆく 夕日かな
- 花野はなの秋の草花が咲き乱れる野。花野ゆく 影長くなる 夕べかな
生活35語
衣食住や仕事、遊びなど、人の暮らしにまつわることば。
- 秋扇あきおうぎ涼しくなって使われなくなった夏の扇。秋扇 忘れたるまま 棚の上
- 秋蚕あきご秋に飼育される蚕。春に続いて秋も養蚕が行われ、農家では秋蚕の世話が秋の日課となる。秋蚕飼ふ 葉を食む音の ほか聞かず
- 秋の旅あきのたび澄んだ空と色づく木々の中を行く秋の旅。秋の旅 笠の上なる 山の雲
- 秋の燈あきのひ秋の夜に灯される燈火。秋の燈に 書を読む夜の 長きこと
- 稲刈いなかり実った稲穂を刈り取る農作業。稲刈や 鎌の光りて 朝の田に
- 稲はざいなはざ刈り取った稲束を掛けて天日干しにする木組みの台。稲はざや 夕日に染まる 田の匂ひ
- 稲刈りいねかり稔った稲を鎌で刈り取る農作業。稲刈りや 弁当ひらく 土手の上
- 芋煮いもに秋に里芋や野菜を煮込む鍋料理。芋煮会 河原に煙 たちのぼる
- 運動会うんどうかい秋晴れの空の下で行われる体育の行事。声からす 運動会の 父の列
- 枝豆えだまめ秋に収穫する大豆の若い莢。枝豆の 塩の香りや 宵の口
- 案山子かかし実った稲を鳥害から守るため田に立てる人形。案山子立つ 風に揺れつつ 田を守る
- 菊合きくあわせ菊の花を持ち寄り美しさを競い合う平安時代以来の雅な遊び。菊合 右も左も 香り立つ
- 菊花展きくかてん秋に各地の神社や公園で開かれる菊の品評会・展示会。菊花展 大輪の白 日を弾く
- 菊人形きくにんぎょう菊の花で衣装を飾った人形を展示する秋の催し。立ち止まる 菊人形の 姫の前
- 栗拾いくりひろい山野に落ちた栗の実を拾い集める行為。栗拾ひ 子の手が赤く なりにけり
- 栗飯くりめし栗を炊き込んだ秋のご飯。栗飯の 湯気に夕餉の 声集ふ
- 秋刀魚焼くさんまやく秋の味覚を代表するサンマを七輪や焼き網で焼く情景。秋刀魚焼く 七輪ひとつ 路地の奥
- 収穫しゅうかく秋に実った作物を取り入れること。収穫の 籠に山盛る 秋の庭
- 秋耕しゅうこう稲刈りの後、来年の作付けに備えて田畑を耕すこと。秋耕や 土くつがえす 鍬の音
- 秋思しゅうし秋に起こる物思い・感傷。秋思ふと 胸によぎりて 筆止まる
- 秋分の日しゅうぶんのひ昼と夜の長さがほぼ等しくなる秋分の日は国民の祝日でもあり、祖先を敬い亡くなった人々を偲ぶ日とさ…ふるさとへ 秋分の日の バスに乗る
- 新酒しんしゅ秋の新米で醸した出来立ての酒。新酒酌む 夜は更けゆく 炉の前に
- 新蕎麦しんそば秋に収穫したばかりの蕎麦の実で打った蕎麦。新蕎麦を 手繰れば香り たちのぼる
- 新米しんまいその年に収穫したばかりの新しい米。新米の 湯気に家中 集ひけり
- 月見つきみ旧暦八月十五日の名月を鑑賞する行事。月見する 縁に並びし 家族かな
- 灯火親しむとうかしたしむ夜長の秋に読書や学問に親しむこと。祖父の辞書 灯火親しむ 膝の上
- 根釣ねづり秋に岩礁の根に潜む魚を釣る漁法・釣り遊び。根釣かな 波静かなる 秋の磯
- 稲架はさ刈り取った稲束を天日干しするために組む木組みの棚。稲架並ぶ 田のほとりなる 秋の道
- 花火はなび初秋の夜空を彩る火の花。花火散る 闇のしじまに 川の音
- 冬支度ふゆじたく冬に備えての準備をすること。冬支度 母の手際の 手早さよ
- 豊年ほうねん農作物の豊作の年。豊年や 稲穂の波の 果て知れず
- 松茸飯まつたけめし松茸を炊き込んだ秋のご飯。釜底の 松茸飯の お焦げかな
- 紅葉狩もみじがり秋の山野に紅葉を見物に出かけること。紅葉狩 帰る道にも 色残る
- 夜学やがく夜に勉強すること、または夜間学校。夜学終へ 星の多さよ 帰り道
- 夜なべよなべ夜遅くまで手仕事をすること。夜なべして 父の繕ふ 網の目よ
行事35語
年中行事や祭り、記念日や忌日など、暦と結びついた催しのことば。
- 秋の社あきのやしろ収穫の季節に行われる氏神への感謝の祭礼の場となる神社のこと。掃き清む 秋の社の 石畳
- 秋遍路あきへんろ秋に四国八十八か所の霊場を巡礼すること。秋遍路 山路を染める 紅葉かな
- 秋祭あきまつり秋の豊作を神に感謝する祭礼。秋祭 太鼓の音や 夕暮れて
- 秋祭囃子あきまつりばやし秋祭りで奏でる笛や太鼓の囃子。秋祭 囃子の音に 夜が更ける
- 氏神祭うじがみまつり地域の守り神である氏神を祀る秋の例大祭。稽古笛 氏神祭 近づけり
- 盂蘭盆うらぼん先祖の霊を迎え供養する仏教行事のお盆。盂蘭盆の 灯籠流る 川静か
- 送り火おくりび盂蘭盆の終わりに祖先の霊を送る火。送り火の 消えて静かな 盆の夜
- 踊りおどり季語で「踊」といえば盆踊りのこと。踊りの手 となりの人に 習ひけり
- 観月かんげつ秋の夜に月を観賞すること。観月や 静かに杯を 傾けて
- 神嘗祭かんなめさい十月十五日から十七日にかけて伊勢神宮で行われる祭儀。宇治橋を 神嘗祭の 列渡る
- 菊酒きくざけ重陽の節句に菊の花を浸して飲む酒。菊酒に 白きひとひら 浮かびけり
- 敬老の日けいろうのひ九月第三月曜日の国民の祝日。肩もめば 敬老の日の 祖母眠る
- 原爆忌げんばくき広島は八月六日、長崎は八月九日に営まれる原爆犠牲者への慰霊の日。原爆忌 ドームの前に 手を合はす
- 収穫祭しゅうかくさい農作物の収穫を祝い神に感謝する祭り。どの籠も 収穫祭の 土の色
- 終戦記念日しゅうせんきねんび八月十五日の終戦の日。終戦日 正午の鐘に 黙禱す
- 精霊流ししょうろうながし盂蘭盆の終わりに精霊舟や灯籠を川や海に流して先祖の霊を送る行事。鉦打ちて 精霊流し 遠ざかる
- 十五夜じゅうごや陰暦八月十五日の夜に月を鑑賞する行事。十五夜の 月に供へし すすきかな
- 十三夜じゅうさんや旧暦九月十三日の夜。十三夜 瓦の波の 明るさよ
- 施餓鬼せがき盂蘭盆の頃に寺院で営まれる供養の法会。施餓鬼寺 五色の旗の 揺れやまず
- 体育の日たいいくのひ一九六四年の東京オリンピック開会式の十月十日を記念し、一九六六年に制定された国民の祝日。白線の 体育の日の まぶしさよ
- 七夕たなばた旧暦七月七日の星祭。七夕の 笹に願ひを 書く子かな
- 短冊たんざく七夕に笹竹へ吊るす細長い色紙。短冊に 妹の書く 願いごと
- 大文字だいもんじ京都五山送り火のひとつ。大文字 山に火の文字 浮かぶ夜
- 重陽ちょうよう旧暦九月九日の節句。重陽の 膳に九つ 小皿かな
- 月見団子つきみだんご中秋の名月の夜に供える白い団子。弟が 月見団子を ひとつ取る
- 灯籠流しとうろうながしお盆に先祖の霊を送るため灯籠を川や海に流す行事。灯籠の 列ゆらゆらと 川を行く
- 墓参はかまいり盂蘭盆に先祖の墓に参ること。墓参 小さき孫の 手を引いて
- 初盆はつぼん人が亡くなって初めて迎えるお盆。初盆の 白き提灯 風に揺れ
- 文化祭ぶんかさい秋に学校などで行われる文化的な発表の祭典。文化祭 幕が上がれば 息のむや
- 文化の日ぶんかのひ十一月三日の国民の祝日。文化の日 土器のかけらに 見入る子ら
- 豊年祭ほうねんまつり五穀豊穣を感謝するために行われる秋の祭り。太鼓より 豊年祭 はじまりぬ
- 盆会ぼんえお盆に行われる仏教の法要の総称。山寺の 盆会の読経 谷わたる
- 盆踊ぼんおどりお盆に先祖の霊を慰めるために行う踊り。盆踊 太鼓に合はせ 手を挙ぐる
- 迎え火むかえびお盆の十三日の夕刻に門口で焚く火。迎え火や 煙にまじる 父の影
- 紅葉賀もみじのが紅葉を賞でながら催す宴や行事の雅称。紅葉賀 笙ひちりきの 遠音かな
動物39語
鳥・虫・魚・獣など、季節ごとに姿を見せる生き物のことば。
- 赤蜻蛉あかとんぼ秋の空を群れ飛ぶ赤いトンボ。赤蜻蛉 竿の先より 動かざる
- 秋鯖あきさば秋に脂が乗って旬を迎えるサバ。秋鯖の 市の桶より 光りけり
- 秋鷹あきたか秋空を飛ぶ鷹。秋鷹の 風に逆らひ 輪を描く
- 秋蝶あきちょう秋の野を飛ぶ蝶。春や夏の蝶と異なり、命の尽きかけた蝶の翅がもの悲しく舞う晩秋の情趣を感じさせる。秋蝶の ひとひらほどの 命かな
- 秋の馬あきのうま秋の野や牧場で草を食む馬。秋の馬 草の原べり 立ち止まる
- 秋の蚊あきのか秋になっても飛び回る蚊のこと。秋の蚊の 灯の下ひとつ 舞ひにけり
- 秋の蛙あきのかわず秋になって鳴き声が小さくなったカエル。夕暮れや 秋の蛙の 声細る
- 秋の鷺あきのさぎ秋の田や河原に佇む白鷺や青鷺。秋の鷺 刈り田のなかに ただ一羽
- 秋の蝉あきのせみ秋に鳴き残るツクツクボウシなどの蝉。秋の蝉 声の細りて ひぐれかな
- 秋の蜂あきのはち秋になり活動が鈍くなった蜂。秋の蜂 花に残れる 蜜を吸う
- 鮎の落ちあゆのおち秋に産卵のため川を下る鮎のこと。落ち鮎や 川の流れの はやくなり
- 猪いのしし秋に山野でどんぐりや栗を食べ回る猪。猪の 山越す気配 秋の宵
- 鰯いわし秋に大群で沿岸に押し寄せる回遊魚。鰯雲 いわしの群れも 沖にあり
- 蟷螂かまきり秋に成虫となり、草むらで虫を待ち構えるカマキリ。蟷螂の 身じろがぬまま 秋の風
- 雁かり秋に北から渡ってくる渡り鳥。雁渡る 空の高さよ 暮れかかる
- きりぎりすきりぎりす秋の草むらでギーッチョンと鳴く昆虫。むざんやな 甲の下の きりぎりす芭蕉
- 熊の子くまのこ秋に木の実を食べ歩く仔熊。熊の子の 母を追ひつつ 転びけり
- 蟋蟀こおろぎ秋の夜に澄んだ声で鳴く虫。蟋蟀や 雨後の土間まで 鳴きとほる
- 鮭さけ秋に産卵のため川を遡上する魚。鮭跳ねて 川のあをさの 深まれり
- 秋刀魚さんま秋に水揚げされる細長い魚。さんまやく 煙の青し 夕暮れに
- 鹿しか秋の発情期に響き渡る雄鹿の鳴き声は、物悲しい秋の情趣として古来より和歌・俳句に詠まれてきた。鹿の声 山にこだまし 夜は更けて
- 鴫しぎ秋に水辺や湿地に現れる渡り鳥。しぎ立ちて 葦の風音 ひとつかな
- 鈴虫すずむし秋の夜にリーンリーンと澄んだ鈴のような音で鳴く昆虫。鈴虫や 闇の奥より 澄む音よ
- 鶺鴒せきれい秋の川辺によく見られる細身の鳥で、尾を上下に振りながら歩く。せきれいの 尾ふる川石 秋の昼
- 鷹柱たかばしら秋の渡りの時期に多数の鷹が上昇気流に乗って柱状に螺旋を描きながら舞い上がる現象。たか柱 秋の大空 くだしけり
- 鶫つぐみシベリア方面から秋に渡来するヒタキ科の冬鳥。つぐみ来て 庭の柿の木 揺れにけり
- 燕帰るつばめかえる春に渡来した燕が秋になって南方へ帰ってゆくこと。つばめ去り 軒の巣箱の 空になる
- 蜻蛉とんぼ秋の空や水辺を飛ぶ昆虫。蜻蛉来て 杭の頭を 譲らざる
- 鯊はぜ秋に河口や内湾で産卵する小魚。はぜ釣れて 川のにほひや 秋の午後
- 初鴨はつかもその年に初めて渡ってくる鴨。初鴨や 朝の水面に 声ひとつ
- 蜩ひぐらし初秋にかなかなと鳴く蝉。蜩や 宿題ひとつ やり残す
- 松虫まつむし「チンチロリン」と澄んだ音で鳴く秋の虫。松虫の 音の細りゆく 夜の秋
- 蚯蚓鳴くみみずなく秋の夜に地中から蚯蚓が鳴くとされた季語。蚯蚓鳴く 土の奥より 夜の更けて
- 虫の声むしのこえ秋の夜に鈴虫や松虫などが奏でる虫の鳴き声。虫の声 草むら深く 澄みわたる
- 鵙もず秋になると高い木の梢や電線で鋭く鳴くモズ。鵙鳴いて 空の高さを 知りにけり
- 鵙の贄もずのにえモズが捕らえた獲物を木の枝や棘に刺しておく習性。鵙の贄 小枝の先に 乾きけり
- 渡り蟹わたりがに秋に旬を迎えるワタリガニ。渡り蟹 甲羅を割れば 内子満つ
- 渡り蝶わたりちょう秋に集団で南へ移動するアサギマダラなどの蝶。渡り蝶 岬の端を 越えてゆく
- 渡り鳥わたりどり繁殖地と越冬地を季節ごとに移動する鳥の総称。渡り鳥 夕空染めて 南へと
植物62語
花・木・草・木の実・野菜など、季節の草木のことば。
- 秋草あきくさ秋に咲く草花の総称。秋草を ひと抱へして 戻りけり
- 秋桑あきぐわ秋の桑の木。葉が黄ばみ落ち始めた桑畑の景色は農村の晩秋を象徴する。秋桑の 黄葉かさなる 畑道
- 秋茄子あきなす秋に実る艶やかなナス。秋茄子を 籠に並べる 朝の庭
- 秋の蓮あきのはす花期を終え枯れていく蓮の姿。秋の蓮 枯れても池の 主のごと
- 秋薔薇あきばら秋に返り咲くバラの花。秋薔薇の 深紅のままに 雨に濡る
- 朝顔あさがお初秋の朝に開く漏斗形の花。朝顔や 朝のしづくを 抱きて咲く
- 無花果いちじくクワ科の落葉小高木の果実。無花果の 裂けて甘さを 溢れさす
- 銀杏いちょう秋に鮮やかな黄色に色づく大木。大銀杏 空を黄色に 染めにけり
- 稲いね実りの秋に黄金色に穂を垂れる稲。稲穂垂れ 風の通れば 波となる
- 芋いも里芋・さつまいもなど秋に収穫される芋類の総称。芋掘りや 土の中より 丸々と
- 白粉花おしろいばな秋の夕べに咲く色鮮やかな花。夕餉どき 白粉花の ひらく路地
- 女郎花おみなえし秋の七草の一つ。黄色い小花が群れ咲く姿が女性の優美さを思わせ、古来から秋の野を代表する植物。女郎花 黄のひとむらの 丘の上
- 柿かき秋に橙色の実を実らせる果樹。柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺子規
- 南瓜かぼちゃ秋に収穫されるウリ科の実。南瓜抱く 両手に畑の 日の匂ひ
- 榧の実かやのみイチイ科の常緑針葉樹、榧の実。榧の実や 森の奥より 落ちる音
- 刈穂かりほ稲を刈り取った後の穂。刈穂負ふ 夕日まぶしき 畦の道
- 桔梗ききょう秋の七草の一つ。桔梗咲く 朝露光る 野の道に
- 菊きく秋に咲く高貴な花。菊の香や 奈良には古き 仏達芭蕉
- 菊の花きくのはな秋に咲く菊の花。菊の花 雨に打たれて 白さ増す
- 木の実落つきのみおつ秋になって木の実が落ちること。木の実落つ 屋根を転がる 音ひとつ
- 金木犀きんもくせいモクセイ科の常緑小高木。角曲がる 金木犀の 香りへと
- 草の花くさのはな秋の野に咲く草花の総称。草の花 名も知らぬまま 踏みにけり
- 葛くず秋の七草の一つ。蔓をのばして大きな葉を広げ、紅紫色の花を房状につける。葛の花 藪を覆ひて 紫の
- 葛の花くずのはな秋の七草の一、葛の花。葛の花 山路を染めて 紫に
- 栗くり秋に実る甘い実。いが栗が弾けて艶やかな茶色の実が顔を見せる秋山の恵みで、日本の秋の味覚の代表。栗落ちて 道に音あり 朝の山
- 鶏頭けいとう鶏のとさかに似た赤や黄の花を咲かせる秋の草花。鶏頭の 赤の深まる 寺の庭
- コスモスこすもすメキシコ原産のキク科一年草。コスモスや 風の来るたび 波のよう
- 木の実このみ樹木に成る果実・種実の総称。木の実落つ 森の静けさ 破りつつ
- 里芋さといもサトイモ科の多年草で、球茎を食用とする。里芋の 大きな葉っぱ 傘にして
- 石榴ざくろザクロ科の落葉小高木の果実。石榴裂け 真っ赤な粒が こぼれ出す
- 椎茸しいたけ秋に広葉樹の枯れ木などに生える食用きのこ。椎茸の 香り漂う 山の道
- 白菊しらぎく白色の菊の花。清廉な白さが尊ばれ、古来仏前への供花として用いられてきた。白菊を 仏間に活けて 香を焚く
- 西瓜すいか初秋に味わう大きな瓜の実。西瓜割る 音の弾けて 縁台に
- 芒すすき秋の野原に銀色の穂を揺らす草。芒原 風のわたりて 夕暮れし
- 蓼の花たでのはなタデ科の植物に咲く小花の総称。蓼の花 水面にうつる 風さやか
- 冬瓜とうがん秋に大きな実を結ぶウリ科の植物。冬瓜の 青く重たる 畑かな
- 玉蜀黍とうもろこし秋に実るとうもろこし。一列に 玉蜀黍を かじる子ら
- どんぐりどんぐりコナラ・クヌギ・カシなどブナ科樹木の果実の総称。どんぐりを ポケットに入れ 帰りけり
- 梨なしバラ科の落葉高木の果実。梨むけば 白き甘さの あふれけり
- 撫子なでしこ秋の七草の一つ。淡紅色の細弁の花が可憐に咲く。撫子の 花に朝露 光りをり
- 苦瓜にがうり秋に実る表面のこぶが特徴的な瓜。苦瓜の 影濃く残る 竹の棚
- 野菊のぎく山野に自生するキク科植物の総称。野菊咲く 道を一人で 帰りけり
- 萩はぎ秋の七草の一つ。細い枝に小さな紅紫色の花をつけ、風に揺れる姿は秋の野の優美さを代表する。萩の花 風に揺れつつ 路傍かな
- 初紅葉はつもみじその年初めて紅葉した葉を見ること、またその木の葉。初紅葉 山の裾まで 風渡り
- 菱の実ひしのみ池や沼に浮かぶ水草、菱の実。菱の実の 角のするどき 黒さかな
- 藤袴ふじばかま秋の七草の一つ。淡紫色の小花が房状に咲き、干すと桜餅に似た香りを放つことで知られる。藤袴 野辺に香りて 秋の風
- 芙蓉ふよう秋に大輪の淡紅色や白の花を咲かせる落葉低木。うすべにの 芙蓉垣より あふれけり
- 葡萄ぶどう秋に紫や緑の房に実る果実。葡萄房 たわわに垂れて 秋の棚
- 糸瓜へちま秋に細長い実を垂らすウリ科の植物。糸瓜棚 夕日に長く 揺れてをり
- 鬼灯ほおずき秋に赤い袋状の実をつける植物。鬼灯を 上手に鳴らす 祖母の口
- 舞茸まいたけ秋にブナなどの老木の根元に群生するきのこ。舞茸や 山の恵みを かかえ来る
- 松茸まつたけ秋に松林に生える芳香豊かなきのこ。松茸や 知らぬ木の葉の へばりつく芭蕉
- 水引草みずひきぐさタデ科の多年草。木洩れ日に 水引草の 赤と白
- 零余子むかご山芋の蔓につく小さな珠芽。零余子飯 おかわりの子の 声弾む
- 木槿むくげ秋に咲く一日花。朝開き夕べにしぼむ淡い花が、残暑の中にも秋の移ろいと儚さを伝える。通学路 木槿の白を 数へゆく
- 木犀もくせい金木犀・銀木犀の総称。木犀の 香りに気づく 秋の朝
- 紅葉もみじ秋に木の葉が赤や黄に色づく現象。ロープウェイ 紅葉の谷を 渡りけり
- 紅葉且つ散るもみじかつちる紅葉しながら同時に散っていく木の葉。山道や 紅葉且つ散る 夕暮れて
- 山栗やまぐり山野に自生する野生の栗。山栗の 転がる道を 踏み歩く
- 山葡萄やまぶどう山野に自生するブドウ科のつる性落葉木本。山葡萄 たわわに垂れて 秋深し
- 柚子ゆずミカン科の常緑小高木。柚子もぎて 指に残れる 香りかな
- 林檎りんごバラ科の落葉高木の果実。林檎もぐ 脚立の上の 空青し